最後の紙漉き職人「蒲生和紙工房」にあり

鹿児島には「和紙の里」と呼ばれる、製紙業に歴史深い、蒲生(かもう)という地域があります。この蒲生にはかつて薩摩藩の和紙の原料を貯蔵する蔵が置かれていました。最盛期には約300人の手漉き和紙師がいましたが、現在はただ1人を残すのみとなっています。

その方が小倉正裕さん。無形民俗文化財にも指定された「蒲生の和紙」
その技術保持者である大叔父の野村正二さんの後を継ぎ、蒲生和紙の伝統と技術を守り続けています。

…なぜこんなにも減ってしまったのか?
それは、その製造工程の大変さにあると教えてくださりました。

原料は、地元のカジノキの皮。

毎年1,2月はカジノキの原木の皮剥ぎに明け暮れます。1年分、その量8,000キロを集めます。そのカジの木の皮を使い、灰汁で煮て

天日で漂白し、叩いてほぐす。

そして箕(みす)ですくって漉き

乾燥します。

下の機械は紙を貼って、熱で乾燥させる際に使います

この手間隙かかる工程は、時間と労力の要る大変な作業です。

 

蒲生和紙は繊維が絡み合い、色・質がきれいに上がります。そして、抵抗力が強く引っ張っても丈夫で、酸やアルカリに強く永久保存に向いています。

約1300年前に九州で漉かれた手漉き和紙が、現在も奈良市にある正創院に保存されているというのは驚きでした。

「これまで試行錯誤してきましたが、今は、純粋にこの伝統を継承し守り育てていきたい。てまひまかけて永年もつ紙を作っていきたい。」と語って下さったのが印象的でした。

現在は、焼酎のラベルのパッケージや家具など、地域の産業と結び付きご活躍されています。地域の学生も、自分の卒業証書用の紙を漉きに年に1回ここに来るとのこと。

きっとその卒業証書は特別な物になるでしょうね!鹿児島の素敵な人、伝統文化に新ためて感動しました!

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