日本三奇の一つ「天之逆鉾(あまのさかほこ)」

いつ、だれが、何のために、どうやって作ったのか?日本には古くから「奇跡」と伝えられる建造物がありますが「天之逆鉾(あまのさかほこ)」は「日本三奇」の1つとして江戸時代の医者、橘南谿が記した書物の中で紹介されております。

天孫降臨の地、高千穂峰の山頂に突き立てられた「天之逆鉾」は、神話の中で「イザナギ」「イザナミ」の夫婦神が日本列島を作るために、大地に突き刺しかき混ぜたとされる、霧島東神社の社宝。

霧島東神社の記事はこちら

今回は、標高1574mの高千穂峰の山頂にある「天之逆鉾」に行ってまいりました。

鹿児島市内から高速道路を使って約1時間30分。「高千穂高原ビジターセンター」の駐車場で車を降ります。駐車場はかなり広めで乗用車は500円で停めることができます。

駐車場のすぐ近くに無料休憩所があり、トイレもあります。登山に行く前に必ず立ち寄りましょう!

その隣に、食事やおみやげが買えるお店があるのですが、ここで準備をし忘れた方には必需品となる、軍手と竹の杖が買えます。

正直、軍手?杖?いらないんじゃないの~?と思いながら買ったのですが、後でこの軍手と杖がどれだけ大事な物だったのかを思い知らされるはめになります…。装備に不安がある方は購入するのをオススメします。

この竹の杖、男の子なら分かると思うのですが、なんかワクワクしてしまいますよね~。

装備を整え、いざ出発です!鳥居をくぐってのスタート!

砂利の道が少し続き、天孫降臨神籬斎場(ひもろぎ斎場)が見えてきます。

毎年11月、この古宮址と高千穂峰山頂にて、「天孫降臨御神火祭」が行われ、崇敬者が願いを託した祈願札や絵馬が焚かれ、国民の平安が祈念されています。

私たちも登山前にこちらで参拝し、斎場横にある登山用の道に向かいました。

道は石畳で整備されており、木漏れ日の中を涼しげに進んでいきます。

しばらくいくと石畳はなだらかな階段へと変わります。
この日は5月の中旬ですが、セミが鳴いておりビックリ!

進めば進むほど、道はより険しく姿を変えていくのですが

たくさんの登山客の方が、山頂の「天之逆鉾」を目指し登っていました。

振り返ると遠くに駐車場が見えます。ここまででだいたい20~30分くらい。

岩石地帯がはじまり、ここで軍手をしてきてよかったと心底思います。

岩石の要所に金色の目印があるのですが、他の登山客の方に聞いたところ「登りやすい場所」に目印があるそうです。私たちもこの目印を探して登っていきました。

岩石地帯を抜けると、なにやら人だかりが。

約1時間、苦労して登った先で、その場にいた登山客のおじさんに

「天逆鉾?まだだよ?あの山の上(写真の赤い丸で囲っているとこ)だよ」と指をさされて言われた時、私たちは壊れました。

「?…嘘ばっかり~おじさんの横に逆鉾あるじゃないですか~」…。実際、ここでやめて引き返す方も結構多いそうです。

あまりのしんどさに正直悩みましたが「天逆鉾」見ずして帰るわけにはいきません!

視界の横に広がる巨大なカルデラを横目に、高千穂の峯を進みます。

超絶ヒットした映画「君の名は」を見た人なら、なんとなく分かると思うのですが
名シーン、黄昏時の場所を思い出しテンションが上がります。

360度パノラマの雄大な自然を見ながら峯を伝い、少し下ったその先に鳥居が見えてきます。

ここは、かつての霧島神宮の跡地。石碑にはこう書かれています。

「霧島神宮元宮之記」この背門丘の地は、人皇第二十九代欽明天皇元年(皇紀一二〇〇年・西暦五四〇年)、僧慶胤が神殿を造営し、天孫天津日高彦火瓊々杵尊を奉齋せし聖地なりと伝う。これ霧島神宮の創祀なり。

山頂を目指すにあたり、改めて参拝をし、最後の登山に気合いをいれます。

石や木、網などで階段上の道が作られており、幾分登りやすくなっておりますが
この道は帰りが危険でした。かなり滑りやすく、杖がマストアイテムとなっております。

そして、30分程かけて、ついに頂上に!

見下ろすと駐車場がさらに小さく見え、標高1574m。だいぶ上まで登ってきたのがわかります。

高千穂峰一帯の霧島山系は、22の単式火山が一つの地域に密集しており世界でも珍しいとされ、昭和9年3月に日本発の国立公園に指定されています。

そしてついに、今回の目的である「日本三奇」の1つ「天之逆鉾」をこの目にしました。

山頂に突き立てられた霧島東神社の社宝「天之逆鉾」は、残念ながら触ることはできません。

「天之逆鉾」は諸説あります。

国家の安定を願い、二度と振るわれることのないようにとの願いをこめて高千穂峰に突き立てた矛は、実は高千穂の噴火により折れてしまい、人々は恐れて、埋まったままの柄はそのままにし、刃の部分は島津家に献上した上でレプリカ(現在刺さっているもの)を山頂に刺し、その後、刃の部分は神社に奉納して祀ったが、いつしか流出して個人の手を転々とし現在は所在不明となってしまった。また、本物は実は伊勢神宮にある。

等、現在の真相は誰も知らない状態にあり、まさに「日本三奇」の1つといえます。

頂上には緊急時の非難小屋と、携帯用のトイレブースがありますが、登り約1時間45分 下り約50分。「天逆鉾」を訪ねるためには、ある程度本格的な登山の準備と装備が必要と感じました。

霧島山(新燃岳)の噴火活動の状態によっては、入山規制がかかる場合もあるので、情報には十分ご注意ください。

是非皆さんも一度は天孫降臨の地、高千穂峰への登山にチャレンジをしてみてはいかがでしょうか?

高千穂高原ビジターセンター
住所:鹿児島県霧島市霧島田口2583-12
駐車場:150台(有料)

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